愛を叫んだところで届かないのが関の山
愛してる。愛してた。……愛していいの?
恐る恐る、手を伸ばしてみる。水色のタオル地のブランケットにくるまれてぷるぷるころころしているそれはその指先から逃げることもなく、大人しくぐりぐりされた。あったかくてふわふわしている。
(かわいい)
ぐりぐりと撫で続けたところでそれは逃げない、噛みつかない。
「かわいーだろ」
「うん」
言われた言葉に素直に頷く。かわいい。何こいつ。撫で回していると、ぺし、とはたかれた。生まれて間もないからか大した威力もないのでただ可愛いだけにしか見えなかったが。
ブランケットに埋もれてみゃーみゃーなくそれは、ちょっぴり花を飛ばし始めた沖を見上げた。
「一匹やるよ?」
「え、いいの!?」
そりゃあまぁ六匹もいりゃあな、と陸は手元で遊ばせていた仔猫たちを見やる。しかし珍しい光景だ。あの沖が、仔猫と戯れて、あまつさえ癒されているのだから。
「あーでも家マンションだ……」
「無理かー。あれ、じゃあ東堂に押し付ければいいんじゃね? 嫌がらせしに行けるし猫と遊べるし」
「それいいね名案!」
わーい、と常になくテンションの高い沖が、綾からの「ごめんもう俺ん家犬いるから無理」という一言に叩きのめされるまで、あと五秒。
>猫好き沖。沖のイメージをぶっ壊そう週間。陸が飼っている猫が、子供を産んだようです
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チョコを与えればいくらでも長持ちします。辛いものやすっぱいものを与えると途端に溶けます。長期に渡って使用される場合は、一日に板チョコを一枚与え、快適な室温、湿度の部屋に放置してください。さみしくなると勝手についてきます。