どうせそれらはただの記憶に埋もれていくだけのがらくた
「……罪と傷」
「次のキス?」
「何でもない」
「ならいいや」
「いやまぁ、人間成長するもんだよねぇ」
「何がだ。いきなり意味不明かつ手前勝手に話を始めないでくれ、もしくは可及的速やかに俺の前から消えてくれ」
「それは今すぐ太陽内の原子力エネルギーが使い切られて消滅するってくらいに無理だね。僕が勝手に話をすればお前はひどく不快そうな顔をするし、僕がお前の視界という視界に居続ける限りお前はひどく不愉快そうな顔をするからだよ」
「あーはいはい、それ何回目だよ畜生」
「多分僕らの年の数の二乗三乗くらいは言ったんじゃない? もしかしたら零の階乗くらいしかないかもしれないけど。……生憎僕は人間畜生にしては些か優秀過ぎやしないかと、思わなくもないよ」
「どーでもいいから。結局お前、何が言いたかったの。無駄に俺の精神削るにしてももっとえげつなかったりするだろ、お前なら」
「まぁ何が言いたかったかって、僕らもあの頃は若かったなぁって話。えげつなく感じるのは、お前が修行不足なだけ」
「あの頃? それどの頃だよ」
「あの頃はいつもあの頃だよ」
「お前の時間感覚は意味不明なんだよ! 二時間前を昔っつったと思ったら六年前を平気でこの前だなんて言いやがるから! せめて定規くらい統一しろ! お前の物差しどんだけ曲がりくねってるんだよ!」
「んー、ここまでくるともう捩れの距離だよな」
「は!?」
「こう、捩れの位置的な?」
「あれは二直線の位置関係であって距離を示すもんじゃねぇよ! おま、ちょ、もうそろそろ人間としてレッドゾーン入ってるだろ!?」
「ぅん? 僕はいつだってメーターがっつり踏み切ったレッドゾーンだろ?」
「だめだこいつ早く何とかしないと……っ」
「何か言った?」
「いやべつに」
「ならいいや」
>会話って難しいよなぁって話。いや、うん、こっちでもリアルでも。会って話すのが一番いいんだろうけど、目を見るのと目を見られるのが苦手。直すためにも頑張る