1mm
彼女は完全無欠、最強の存在だった。人ならざる、生物ならざるこの俺ですら感嘆せしめるほどに。すべての生物の英知を超えた存在である、この俺たちですら一目置くほどに。
だからこそ俺たちは彼女と、彼女を取り巻くそのふざけた”戯曲”を眺め続けた。俺たちをすら超えた彼女ほどの存在が、一体この逃れ難い運命からどうやって抜け出すのか――当然、与えた条件奪った条件にも気付かずに彼女は運命の渦に堕ちてしまったけれど。
この憂鬱を蹴とばしてやろうか。
この痛みを笑い飛ばしてやろうか。
やはり彼女は生き物だった。生き物である以上本能と感情と理性と狂気がちゃんとその中にあって、俺たちは今まで通りの結果になるんだろうと、嘲笑する前に落胆した。だって、今までにないものが見られるのかと思ったから。ずっとずっとずっとずっと、何年も何十年も何百年も何千年も同じことの繰り返しばかりで飽きていた。やっぱり『神官』の介入で『天使』と『悪魔』は別れ別れになってお互いに理解なんてすることなく転生して転生して、生まれ変わって。
避けようとしても避けられない別れが、この世界には満ちている。
一休みなんてしてられない、それがこの世全ての――俺たちの理だ。
誰もが心のどこかで愛の行方に怯えてる。『役者』だから、なんてものじゃない。みんなそうで、彼女もそうだった。温かい記憶に囲まれて笑う、それは彼女が最も望んだこと。涙の続きの、その先の記憶。
手に入れたものが消えて行って、与えたものだけが残るのなら。
俺は、彼女に優しい気持ちを残したい。
さぁ、俺は俺の同胞たちを裏切るよ。一緒に行こう、君は一人じゃない。
道は果てしなく遠くて長いけれど、俺たちなら大丈夫でしょう?
進もう。一日1mmでもいいさ。
永遠をその手に閉じ込めてしまえたなら、人は。
>凶界に出てくる長生きな人らのうち、自分の仲間を裏切ってまで彼女についてきた方。彼女の強さをずっと見つめてて、”戯曲”見てたら「案外普通の生き物と大して変わらないなぁ」って思って(ハーフとは言え凶界の柱と違ってちゃんとした生物だ)、そんで最後の死に様で惚れこんだってところかなー。「一生ついていきます姉御!」とはちょっと違うけど、「この人についていこう」って思わせる何かがあったんだと思う。Aquaは考えさせられるというか、色々と沸き立つものがある。こう、精神描写にも近いくせにちゃんとストーリーも立ってたりして、かと思えば脈絡なく綴ってたり。Do Asさんも書きたいのあるから、早くコンポが直ればいいと思う