half

この子は泣くんじゃないのかな




　ぱたぱたと、水の落ちる音がした。彼は泣いていた。澄んだ黄色の目はゆらめき、目尻から今もなお涙が零れる。
――「何のために生まれてきたのか解らなかった」「でも音楽を聴けた」「彼女の歌を」
　エリックは救われた。母の愛によって育てられ、愛したクリスティーヌに全てを受け入れられ、父に殺してもらえたのだから。彼は愛されていた。彼を知る周りの誰からも。
――愛する人に祝福され生まれた。愛する人に出会うために生まれた。
　ぱたぱたと水の落ちる音がする。繰り広げられた悲劇の中の彼が余りにも羨ましすぎて。
――愛する人に殺され。愛する人の名前を呼んで死んだ。
　涙は止まらない。通りのいい歌が頭の中で響き続ける。
　数少ない友人は自分を祝福してくれるだろうか。彼女は自分に会うために生まれてきたと言ってくれるだろうか。彼女は自分を殺してくれるだろうか。　もう呼ぶ名前は決まっている。



＞途中だけども。ミィはきっと泣くんだろうな。人称が入り交じっててややこしいな(´・ω・｀)反省。